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吾輩は猫である-第103章

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蓼Δ扦埂

「どうなってしまうのだ」

「煙草(たばこ)でもですね、朝日や、敷島(しきしま)をふかしていては幅が利(き)かんです」と云いながら、吸口に金箔(きんぱく)のついた埃及(エジプト)煙草を出して、すぱすぱ吸い出した、

「そんな贅沢(ぜいたく)をする金があるのかい」

「金はなかばってんが、今にどうかなるたい。この煙草を吸ってると、大変信用が摺い蓼埂

「寒月君が珠を磨くよりも楽な信用でいい、手数(てすう)がかからない。軽便信用だね」と迷亭が寒月にいうと、寒月が何とも答えない間に、三平君は

「あなたが寒月さんですか。博士にゃ、とうとうならんですか。あなたが博士にならんものだから、私が貰う事にしました」

「博士をですか」

「いいえ、金田家の令嬢をです。実は御気の毒と思うたですたい。しかし先方で是非貰うてくれ貰うてくれと云うから、とうとう貰う事に極(き)めました、先生。しかし寒月さんに義理がわるいと思って心配しています」

「どうか御遠懀Г胜工群戮皮Δ取⒅魅摔

「貰いたければ貰ったら、いいだろう」と曖昧(あいまい)な返事をする。

「そいつはおめでたい話だ。だからどんな娘を持っても心配するがものはないんだよ。だれか貰うと、さっき僕が云った通り、ちゃんとこんな立派な紳士の御聟(むこ)さんが出来たじゃないか。枺L君新体詩の種が出来た。早速とりかかりたまえ」と迷亭君が例のごとく眨婴扭热骄

「あなたが枺L君ですか、結婚の時に何か作ってくれませんか。すぐ活版にして方々へくばります。太陽へも出してもらいます」

「ええ何か作りましょう、いつ頃(ごろ)御入用(にゅうよう)ですか」

「いつでもいいです。今まで作ったうちでもいいです。その代りです。披露(ひろう)のとき呼んで御馳走(ごちそう)するです。シャンパンを飲ませるです。君シャンパンを飲んだ事がありますか。シャンパンは旨(うま)いです。――先生披露会のときに楽隊を呼ぶつもりですが、枺L君の作を譜にして奏したらどうでしょう」

「勝手にするがいい」

「先生、譜にして下さらんか」

「馬鹿云え」

「だれか、このうちに音楽の出来るものはおらんですか」

「落第の候補者寒月君はヴァイオリンの妙手だよ。しっかり頼んで見たまえ。しかしシャンパンくらいじゃ承知しそうもない男だ」

「シャンパンもですね。一瓶(ひとびん)四円や五円のじゃよくないです。私の御馳走するのはそんな安いのじゃないですが、君一つ譜を作ってくれませんか」

「ええ作りますとも、一瓶二十銭のシャンパンでも作ります。なんならただでも作ります」

「ただは頼みません、御礼はするです。シャンパンがいやなら、こう云う御礼はどうです」と云いながら上着の隠袋(かくし)のなかから七八枚の写真を出してばらばらと畳の上へ落す。半身がある。全身がある。立ってるのがある。坐ってるのがある。袴(はかま)を穿(は)いてるがある。振袖(ふりそで)がある。高島田がある。ことごとく妙齢の女子ばかりである。

「先生候補者がこれだけあるです。寒月君と枺L君にこのうちどれか御礼に周旋してもいいです。こりゃどうです」と一枚寒月君につき付ける。

。。!



十一 … 24

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「いいですね。是非周旋を願いましょう」

「これでもいいですか」とまた一枚つきつける。

「それもいいですね。是非周旋して下さい」

「どれをです」

「どれでもいいです」

「君なかなか多情ですね。先生、これは博士の姪(めい)です」

「そうか」

「この方は性伲瑯O(ごく)いいです。年も若いです。これで十七です。――これなら持参金が千円あります。――こっちのは知事の娘です」と一人で弁じ立てる。

「それをみんな貰う訳にゃいかないでしょうか」

「みんなですか、それはあまり慾張りたい。君一夫多妻主義(いっぷたさいしゅぎ)ですか」

「多妻主義じゃないですが、肉食論者(にくしょくろんしゃ)です」

「何でもいいから、そんなものは早くしまったら、よかろう」と主人は叱りつけるように言い放ったので、三平君は

「それじゃ、どれも貰わんですね」と念を押しながら、写真を一枚一枚にポッケットへ収めた。

「何だいそのビ毪稀

「お見やげでござります。前祝(まえいわい)に角(かど)の酒屋で買うて来ました。一つ飲んで下さい」

主人は手を拍(う)って下女を呼んで栓(せん)を抜かせる。主人、迷亭、独仙、寒月、枺Lの五君は恭(うやうや)しくコップを捧げて、三平君の艶福(えんぷく)を祝した。三平君は大(おおい)に愉快な様子で

「ここにいる諸君を披露会に招待しますが、みんな出てくれますか、出てくれるでしょうね」と云う。

「おれはいやだ」と主人はすぐ答える。

「なぜですか。私の一生に一度の大礼(たいれい)ですばい。出てくんなさらんか。少し不人情のごたるな」

「不人情じゃないが、おれは出ないよ」

「着物がないですか。羽織と袴(はかま)くらいどうでもしますたい。ちと人中(ひとなか)へも出るがよかたい先生。有名な人に紹介して上げます」

「真平(まっぴら)ご免(めん)だ」

「胃病が癒(なお)りますばい」

「癒らんでも差支(さしつか)えない」

「そげん頑固張(がんこば)りなさるならやむを得ません。あなたはどうです来てくれますか」

「僕かね、是非行くよ。出来るなら媒酌人(ばいしゃくにん)たるの栄を得たいくらいのものだ。シャンパンの三々九度や春の宵。――なに仲人(なこうど)は鈴木の藤(とう)さんだって? なるほどそこいらだろうと思った。これは残念だが仕方がない。仲人が二人出来ても多過ぎるだろう、ただの人間としてまさに出席するよ」

「あなたはどうです」

「僕ですか、一竿風月(いっかんのふうげつ)閑生計(かんせいけい)、人釣(ひとはつりす)白蘋紅蓼間(はくひんこうりょうのかん)」

「何ですかそれは、唐詩選ですか」

「何だかわからんです」

「わからんですか、困りますな。寒月君は出てくれるでしょうね。今までの関係もあるから」

「きっと出る事にします、僕の作った曲を楽隊が奏するのを、きき落すのは残念ですからね」

「そうですとも。君はどうです枺L君」

「そうですね。出て御両人(ごりょうにん)の前で新体詩を朗読したいです」

「そりゃ愉快だ。先生私は生れてから、こんな愉快な事はないです。だからもう一杯ビ毪蝻嫟撙蓼埂工茸苑证琴Iって来たビ毪蛞蝗摔扦挨い挨わ嫟螭钦娉啵à蓼盲─摔胜盲俊

短かい秋の日はようやく暮れて、巻煙草の死骸(しがい)が算を乱す火悚韦胜蛞姢欷谢黏悉趣挝簸讼à皮い搿¥丹工瑓讱荩à韦螭─芜B中も少しく興が尽きたと見えて、「大分(だいぶ)遅くなった。もう帰ろうか」とまず独仙君が立ち上がる。つづいて「僕も帰る」と口々に玄関に出る。寄席(よせ)がはねたあとのように座敷は淋しくなった。

主人は夕飯(ゆうはん)をすまして書斎に入る。妻君は肌寒(はださむ)の襦袢(じゅばん)の襟(えり)をかき合せて、洗(あら)い晒(ざら)しの不断着を縫う。小供は枕を並べて寝る。下女は湯に行った。

 。。 



十一 … 25

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呑気(のんき)と見える人々も、心の底を叩いて見ると、どこか悲しい音がする。悟ったようでも独仙君の足はやはり地面のほかは踏まぬ。気楽かも知れないが迷亭君の世の中は剑摔い渴坤沃肖扦悉胜ぁ:戮现槟ィà郡蓼梗─辘颏浃幛皮趣Δ趣Δ榘陇丹螭蜻Bれて来た。これが順当だ。しかし順当が永く続くと定めし退屈だろう。枺L君も今十年したら、無暗に新体詩を捧げる事の非を悟るだろう。三平君に至っては水に住む人か、山に住む人かちと鑑定がむずかしい。生涯(しょうがい)三鞭酒(シャンパン)を御馳走して得意と思う事が出来れば結構だ。鈴木の藤(とう)さんはどこまでも転(ころ)がって行く。転がれば泥がつく。泥がついても転がれぬものよりも幅が利(き)く。猫と生れて人の世に住む事もはや二年越しになる。自分ではこれほどの見識家はまたとあるまいと思うていたが、先達(せんだっ)てカ匹搿ぅ啷毪仍皮σ姢褐椁氦瓮澶蝗淮髿荨。à坤いà螅─驌P(あ)げたので、ちょっと吃驚(びっくり)した。よくよく聞いて見たら、実は百年前(ぜん)に死んだのだが、ふとした好奇心からわざと幽霊になって吾輩を驚かせるために、遠い冥土(めいど)から出張したのだそうだ。この猫は母と対面をするとき、挨拶のしるしとして、一匹の肴(さかな)を啣(くわ)えて出掛けたところ、途中でとうとう我慢がし切れなくなって、自分で食ってしまったと云うほどの不孝ものだけあって、才気もなかなか人間に負けぬほどで、ある時などは詩を作って
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